現代社会において、デスクワークは避けて通れない仕事のスタイルとなりました。パソコンを使った作業や書類の整理、長時間の座り仕事が主な業務となり、身体への負担がどんどん大きくなっています。特に、姿勢が悪いまま作業を続けることによる筋骨格系への悪影響は、日々対応している悩みのひとつです。今回は、デスクワークが身体に及ぼす影響と、それに対する予防策や改善方法について、詳しくお伝えしたいと思います。
1.デスクワークが引き起こす身体の不調
長時間座りっぱなしで仕事をしていると、まず問題となるのは「姿勢」です。現代人の多くは、猫背や前傾姿勢、肩の丸まりなど、悪い姿勢を取ることが多く、これが慢性的な筋肉の緊張や関節への負担を引き起こします。デスクワークによる身体の不調でよく見られる症状として、以下のものがあります。
- 肩こり・首こり デスクワークをしていると、パソコンの画面を長時間見続けるため、首や肩に負担がかかります。特に前傾姿勢をとると、首の後ろの筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋)が緊張し、これが肩こりや首の痛みを引き起こします。さらに、これが悪化すると、肩甲骨周りの筋肉が硬くなり、肩甲骨の可動域が制限されてしまうこともあります。
- 腰痛 座っている時間が長いため、腰の筋肉(特に腰部の多裂筋や大腰筋)に過度な負担がかかります。姿勢が悪いまま座っていると、骨盤が前傾または後傾することがあり、これが腰椎(腰の骨)や椎間板に悪影響を与え、腰痛を引き起こします。
- 眼精疲労 長時間のパソコン作業は、目の筋肉を過度に使い、眼精疲労を引き起こす原因となります。眼球周りの筋肉(眼輪筋や外眼筋)が緊張し、頭痛や視力の低下、目の乾燥感などを感じることがあります。
- 手首・肘の痛み パソコンやキーボードを長時間使用することで、手首や肘に負担がかかります。特に「腱鞘炎」や「テニス肘」と呼ばれる症状がよく見られ、手のひらや指の使い過ぎが原因で発生します。
デスクワークにおける正しい姿勢
デスクワークの中で最も重要なのは、「正しい姿勢」を維持することです。正しい姿勢を取ることで、筋肉への負担を軽減し、関節にかかる圧力を最小限に抑えることができます。以下に、理想的な座り方と姿勢について説明します。
- 背もたれを利用する 椅子に座る際、背もたれをしっかりと使うことが大切です。背中を丸めて座ると、腰椎や背骨に無理な負担がかかります。椅子の背もたれに背中をしっかりと預け、腰椎の自然なカーブをサポートするように心掛けましょう。
- 膝と腰の角度を90度に保つ 足元の位置も重要です。膝が90度に曲がるように座り、足裏が床にしっかりとついている状態を維持します。この姿勢を取ることで、腰への負担を軽減できます。足元が床につかない場合は、足置きを使って足を安定させましょう。
- モニターの位置を調整する モニターの位置は、目線が自然に向けられる高さに調整します。画面が低すぎたり、高すぎたりすると、首に負担がかかります。画面の上部が目線の高さになるように調整し、首を前に出したり下に向けたりしないように気をつけましょう。
- 手首の位置を適切に保つ キーボードやマウスの使い方も大切です。手首を曲げて操作することは、腱鞘炎や手根管症候群の原因になります。手首を直線的に保ち、自然な位置で入力することを心がけましょう。
ストレッチと運動の重要性
デスクワーク中の姿勢が原因で筋肉が緊張し、血流が滞ることが多いため、定期的なストレッチや運動が非常に重要です。以下に、簡単にできるストレッチや運動を紹介します。
- 肩甲骨ストレッチ 肩こりを予防するためには、肩甲骨周りの筋肉をしっかりとほぐすことが大切です。両手を肩の高さに上げて、肩甲骨を内側に寄せるように引き寄せ、その後、ゆっくりと元に戻す動きを繰り返します。この運動を10回ほど行うと、肩周りの血流が促進され、肩こりの予防になります。
- 腰回りのストレッチ 腰痛を予防するためには、腰部の筋肉を伸ばすことが重要です。椅子に座ったままできるストレッチとして、腰を左右にひねる動きや、片膝を胸に引き寄せて伸ばす動きが効果的です。これらを数回繰り返すことで、腰部の筋肉をリラックスさせることができます。
- 眼の疲れを取る目の体操 目の疲れを取るために、目を大きく開いたり、左右に動かしたりする簡単な体操を行いましょう。また、遠くを見つめることで、目の焦点をリセットすることができます。パソコン作業を30分おきに休憩し、目を休めるよう心掛けてください。
- ウォーキング 最も手軽で効果的な運動がウォーキングです。デスクワークをしていると、血流が滞りがちですが、ウォーキングをすることで全身の血液循環が促進され、筋肉や関節が活性化します。1時間に1回程度、5〜10分間歩くように心掛けるだけでも、疲れが軽減されます。
最後に
デスクワークは身体に負担をかけやすい作業ですが、正しい姿勢とこまめなストレッチでその影響を軽減することができます。整体の施術も効果的ですが、日々のセルフケアが最も重要です。もしも肩こりや腰痛が続く場合は、適切な治療を受けることをおすすめします。身体は資本ですので、仕事をする際にはぜひ、身体への配慮を忘れずに、健康的なライフスタイルを維持してください。